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雨の中

沢山のありがとうの中去って行った人が、また沢山のありがとうを伝えに帰ってきたという。

沢山の愛に包まれて笑っている。

良かった。

雨の中一人駆けていく。

よそ者が一人
誰もいない夜の雨の中を。


愛が足りないと泣いていたのだ。

愛をあげられないと泣いていたのだ。

よそ者
だから自分を愛せ。

そう言っている。

わかっている。

雨の中びしょ濡れで駆けていく。

それでいいのだ。

きっと全て忘れるのだろう。

忘れてしまいたいのだ。

それでいいのだ。

良く見てみれば分かる。

目の前の事、それが全て。

自分が描いた世界がそこにある。
それをのぞんでいたのだ。

よそ者が一人びしょ濡れで、
想っている。

もうきっと届かないだろう。


でもきっと笑っている。

それだけで嬉しい。
雨で流れた涙。

なかったことにしようとしている雨。

ありがとう。

でも忘れる事はないだろう。

汚れた悲しみだけ流してほしい。

狂った天使が微笑んだ。

妄想だけで心がやわらぐ。

ありがとう。